大谷の巨額後払い契約が発表された直後、アメリカ国内外のSNSや一部メディアにおいて「これは富裕層による税逃れではないか」「ドジャースによる資金力に物を言わせたルールの抜け穴利用だ」といった批判的な言説が拡散されました。しかし、これらの論調はMLBの協約と税法の仕組みに対する誤解に基づいています。
まず、MLBの労使協定(CBA)第16条において、「契約金の後払い額や比率に上限は設けない」と明確に明記されています。過去にもマックス・シャーザーやボビー・ボニーヤなど、多くの選手が後払い契約を結んでおり、大谷の契約は何ら規約違反ではありません。MLB機構および選手会も正式にこの契約の正当性を認めています。
次に、カリフォルニア州の州所得税(最高税率13.3%)の回避を目的とした「税逃れ」という疑惑についてです。米国連邦法規(合衆国法典第4条114条)の規定により、10年以上にわたって均等に支払われる退職金・後払い年金所得に関しては、受給時に居住している州で課税される原則があります。
大谷が2034年以降にカリフォルニア州外や日本に拠点を移した場合、同州の所得税が課されない可能性は法的に存在しますが、これは大谷側が違法に設けたスキームではなく、米国の合衆国法に則った一般的な税制構造です。さらに、スポンサー契約やCM出演料などの副収入だけで年間100億円以上を稼ぎ出す大谷にとって、本業の年俸後払いは節税目的というよりも、「球団の勝利のために補強枠を空ける」というスポーツ的動機が主目的であったことが、米経済紙フォーブスや有力アナリストの精緻な試算でも証明されています。