インターネット上の旅行ブログや掲示板では、「伏見稲荷はスニーカーさえ履いていれば誰でも1時間で山頂まで行ける」といった過小評価の情報が散見されます。しかし、これは日常的に登山を行っている健脚者のタイムラインであり、一般的な観光客には全く当てはまりません。編集部の現地検証および実測データによれば、写真撮影や適度な休憩を挟んだ場合、四ツ辻から山頂を回って降りてくるだけで最低でも2時間は見積もる必要があります。
また、「鳥居は山頂まで途切れることなく完全にトンネル状になっている」というのもよくある誤解です。山頂の一ノ峰周辺や一部の尾根筋では鳥居の密度がまばらになり、原生林の木漏れ日や苔むした塚(神蹟)が主役となる厳粛な山道へと姿を変えます。千本鳥居の密集美だけを期待して登ると、後半の素朴で険しい山岳信仰の景観に驚くことになります。
もう一つの盲点は下山ルートの罠です。四ツ辻から下る際、多くの人が登ってきたメインルート(千本鳥居側)へ戻ろうとしますが、三ツ辻の分岐で案内を見落として荒木神社方面や裏参道へ迷い込むケースが多発しています。道自体は麓へ繋がっているものの、JR稲荷駅ではなく京阪伏見稲荷駅寄り、あるいは住宅街の路地へと出てしまうため、同行者とはぐれたり旅程が狂ったりする原因となります。