調理時に最も多くの人が迷うポイントが、じゃがいもの芽はどこまで取るべきかという物理的な深さの境界線です。結論から言えば、「芽の先端を爪や指先で千切るだけ」の処理は極めて危険であり、食材としての安全基準を満たしていません。
じゃがいもの芽の周辺には、グリコアルカロイド(ステロイドアルカロイド配糖体)と呼ばれる天然毒素の一種であるソラニン・チャコニンの毒性と危険性が集中的に凝縮されています。植物が生育のために害虫や外敵から身を守る防御物質であり、芽そのものだけでなく、芽の土台となっている「くぼみ(目の部分)」の深部組織にまで高濃度に浸透しているのが特徴です。
東京都保健医療局などの公的分析データによると、塊茎の通常可食部(中心部)のソラニン類含有量が100gあたり2〜10mg程度と微量であるのに対し、芽の組織内には100gあたり200〜400mg以上という数十倍から数百倍の猛烈な濃度で毒素が蓄積されます。「表面上は見えなくなったから大丈夫」と根元を残したまま調理すると、毒素のホットスポットをそのまま口へ運ぶことと同義になります。芽を取り除く際は、くぼみの底にある成長点組織を含め、周囲の果肉ごと円錐形(すり鉢状)に深さ2〜3mm以上えぐり取らなければなりません。