特定の人としか打ち解けない同僚を前にした際、多くの人が抱く最大のストレスは「自分は何かしでかして嫌われたのではないか」という自己関連づけの不安です。しかし、産業保健の現場検証から明らかになっているのは、その9割以上が相手側の「人見知りと強い警戒心」に起因する心理的フリーズであり、周囲に対する積極的な悪意ではないという事実です。
特に、職場において挨拶しかしない人の心理は、冷淡さの表れではなく「これ以上の踏み込みを禁じる防壁」として機能しています。彼らにとって、挨拶は社会人としての義務を果たす最小単位の防御シールドであり、それ以上の会話に発展すると「何を話せばいいかわからない」「相手を不快にさせたらどうしよう」というパニック(認知的過負荷)が生じるのです。
また、好き嫌いが態度に出る人の心理についても、当人が意識的に差別待遇を行っているとは限りません。感情の自己統制能力(エモーショナル・レギュレーション)が未成熟な場合、緊張や不安がそのまま「能面のような無表情」「視線を逸らす動作」として外部に漏れ出してしまいます。受け手側はそれを「敵意」や「見下し」と受け取りがちですが、本人の頭の中にあるのは「一刻も早くこの場を立ち去りたい」「粗相をしてはいけない」という切迫感にほかなりません。