大襲名興行という大仕事をやり遂げた八代目市川新之助。現在の彼は、古典歌舞伎の難役に次々と挑む新たなステージに立っている。演目を重ねるごとに深まる台詞回しや、線の太い見得(みえ)の切り方は、かつての「歌舞伎界の超新星」という形容詞を超え、頼もしい花形役者としての風格すら感じさせる。
かつて市川海老蔵として歌舞伎界を牽引した十三代目市川團十郎白猿も、愛息の躍進に目を細める。稽古場での指導は厳しさを極めるが、ひとたび舞台に立てば、父と子は流派の未来を背負う同志でもある。演目に対する解釈の深まりは目を見張るものがあり、舞台上の立ち居振る舞いには日々磨きがかかっている。