鑑賞予定者の間で最も議論を呼ぶのが、「日生劇場の座席はどこが見やすいのか」、そして「2階席は見えにくいのか」という論点です。劇場に通い詰めるファンへの聞き取りや現場検証を行うと、ネット上で囁かれる噂の背景には明確な構造的理由が存在することがわかりました。
まず「2階席は見えにくい」という噂の発端は、主に2階最前列(A列)における手すりの視界干渉に起因しています。日生劇場の2階席は落下防止のために頑丈な安全手すりが設置されており、着席時の座高や姿勢によっては、舞台前面(エプロンステージ付近)や役者の足元に手すりがちょうど重なってしまうのです。前のめりになっての観劇は後方客の視界を遮る重大なマナー違反となるため、背中を座席シートに密着させた状態では「舞台手前が手すりで遮られて見えづらい」というストレスを感じるケースがあります。
一方、2階席のB列以降は段差が一段ごとにしっかりと確保されているため、前の人の頭が被るリスクは極めて低くなります。舞台全体を立体的に見渡すパノラマビューとしてはむしろ優れており、「見えにくい」という表現は「2階最前列の特殊な手すり位置」を指した評価が一人歩きしたものと判断できます。
次に、1階席後方の見え方についてです。1階席は中盤のM列あたりまでは傾斜が緩やかで、N列以降から段差が徐々に深くなります。しかし、P列やQ列を越えて最後列(X列付近)に近づくと、真上に2階席の底面がせり出してきます。この建築構造上、舞台上の役者そのものは見えても、2階建ての大型舞台セットの最上段や天井の照明演出が視界から切り取られてしまう事象が発生します。これが「1階後方は見えづらい、圧迫感がある」と評される根本的な理由です。