コンテストの歴史を語る上で最も興味深い現象が、「グランプリを逃したファイナリストや落選組の驚異的なブレイク率」です。その象徴が、第21回(2008年)のファイナリストである菅田将暉(当時は本名の菅生大将)でしょう。当時15歳だった彼は、最終選考で上位賞を逃したものの、客席で見守っていた芸能事務所トップコートのマネージャーによって即座に見出され、翌年には『仮面ライダーW』の主演に抜擢。後に日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞するトップランナーへと駆け上がりました。
ほかにも、第18回準グランプリの山本裕典、第20回フォトジェニック賞の三浦翔平、ファイナリストから頭角を現した磯村勇斗(中学生時代の初期挑戦など)、さらには別枠オーディションや書類選考の段階で苦杯をなめながらも別ルートで開花した実力派たちが数多く存在します。なぜ、グランプリ受賞者以上に「落選組」が突出した個性を発揮するのでしょうか。
そこには、芸能プロダクションのスカウティングにおける明確な思惑のズレが存在します。主婦と生活社JUNON編集部や一般読者が選ぶグランプリは、「清潔感」「非の打ち所のない端正な顔立ち」「全方位に好かれる親しみやすさ」という減点法のないバランス型が選ばれる傾向があります。一方で、老舗芸能事務所の敏腕スカウトたちが探しているのは、優等生ではなく「強烈な歪みや毒を含んだ唯一無二のフック」です。
当時の特番インタビューや自著・手記で語られた候補者たちの告白を検証すると、落選組の多くは「コンテストの型に収まりきらなかった」少年たちでした。完成された美男子は即座にアイドル的消費に晒されやすいのに対し、あえて賞を逃したことで「負け犬の反骨心」をバネにし、徹底的な演技修行や泥臭い舞台経験を積むことができたという逆説的なキャリアパスが形成されているのです。