ブルーボトルコーヒー神戸の2店舗が連日多くの人々を引きつける根本的な理由は、「一杯の抽出に時間をかける丁寧なホスピタリティ」と「都市空間に溶け込む洗練されたサードプレイス性」の相乗効果にあります。1杯ずつ丁寧にハンドドリップするスタイルは物理的な提供時間を要しますが、来店者はそれを単なる待ち時間ではなく「体験のプロセス」として肯定的に受容しています。
まず押さえるべきは、徒歩10分ほどの距離に位置する2店舗が、全く異なるベクトルで設計されている点です。旧居留地店はハイブランドが立ち並ぶ仲町通の近代建築「甲南アセット前町ビル」の1階に位置し、高い天井とガラス張りのファサードから降り注ぐ自然光が特徴です。白を基調としたミニマルな空間設計はスキーマ建築計画の長坂常氏が手掛けており、神戸の旧居留地特有のクラシカルな気品とカリフォルニアの開放感が見事な調和を生み出しています。
一方の神戸阪急店は、三宮駅直結の神戸阪急新館「Hankyu Mode Kobe」1階に構える都市型店舗です。店内席に加えてストリートに面した開放的なテラス席を備え、旧居留地店よりもカジュアルかつスピーディーな動線が確保されています。買い物客やビジネスパーソンのデイリーユースを想定したテイクアウトカウンターが機能しており、同じブランドでありながら利用シーンが巧みに差別化されています。