物語の中心にいるのは、精神科医として働く藤代俊(演:佐藤健)。彼は婚約者である植物学者の佐藤弥生(演:森七菜)とともに幸せな将来を思い描いていた。しかし弥生は突然、何の前触れもなく姿を消してしまう。
残された藤代は失踪した弥生を探しながら、10年前に別れた初恋の女性・春(演:長澤まさみ)からの手紙を受け取る。春は今、旅の途中でヨーロッパ各地から手紙を送り続けている。その手紙が届くたびに、藤代の記憶はあの日々へと引き戻されていく。物語は「現在の弥生失踪の謎」と「過去の春との恋愛」が交互に描かれる二重構造を採用しており、読者・視聴者は二本の時系列を往き来しながら、やがて両者がひとつの真実へと収束する瞬間を目撃することになる。
主要登場人物の相関図を整理すると以下のようになる。
- 藤代俊(佐藤健)――精神科医。弥生の婚約者であり、かつて春と深く愛し合った男。過去と現在の間で揺れる、物語の軸となる人物。
- 春(長澤まさみ)――藤代の初恋の女性。現在はカメラマンとして世界を旅する。過去に藤代と別れた経緯と、現在の手紙の意味が物語の核心を握る。
- 佐藤弥生(森七菜)――藤代の婚約者にして植物学者。物語冒頭で突然失踪し、その理由が終盤まで明かされない。
- ハルの父親(竹野内豊)――春の父。彼の過去の選択が、春の行動原理に深く影響している重要な伏線を担う人物として描かれる。
複数の考察サイトや公式発表資料を参照するかぎり、「なぜ弥生は失踪したのか」という問いが物語の表層的な謎であり、「なぜ春は手紙を送ってきたのか」という問いが作品の哲学的な核心に位置することがわかる。