本作のベースとなったのは、作家・内藤了による大人気警察小説「猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」シリーズ(角川ホラー文庫刊)です。原作はシリーズ累計発行部数で圧倒的な実績を誇るベストセラーですが、ドラマ化にあたっては映像作品としてのドラマ性を高めるため、いくつかの重要な設定改変が行われました。
1. 比奈子のキャラクター描写と「感情」の扱い
原作の比奈子は、感情の欠如に悩みながらも、周囲の人々と関わる中で少しずつ人間らしさを模索していく成長譚の側面が強く描かれています。一方、ドラマ版では「人を殺す側と殺さない側の境界線」に立つダークサイドの危うさが極限まで強調され、波瑠の無機質で透明感のある眼差しによって、よりサスペンスフルな心理劇へと昇華されました。
2. 中島保(林遣都)の運命と立ち位置の差異
原作における中島保も重要人物ですが、ドラマ版では中島が比奈子の「精神的合わせ鏡」としての役割を色濃く担っています。自らも境界線を越えてしまった殺人者でありながら、比奈子をこちらの世界へ引き込もうとするのか、それとも踏みとどまらせようとするのかという、緊迫した心理的駆け引きがオリジナル要素を交えて濃密に描かれました。
3. 猟奇描写のビジュアル化への挑戦
内藤了の小説が持つ最大の魅力である「グロテスクでありながら論理的な異常犯罪」を、地上波の限界に挑む形で映像化した点も特筆されます。特殊メイクや美術セットの徹底した作り込みにより、単なるホラーではなくスタイリッシュなクライム・サスペンスとして成立させました。