ホテル浦島への旅は、勝浦港の桟橋に立つ瞬間から始まります。ホテルが位置する狼煙半島へは陸路の専用道路もあるものの、一般宿泊者のメインルートは海上です。桟橋で待つこと数分、竜宮城の使者を思わせる亀の形をした専用送迎船「浦島丸」が静かに接岸します。わずか5分ほどの短い船旅ですが、日常から切り離されて別世界へ向かう高揚感は格別です。
車で訪れる場合は、宿のすぐ近くに駐車場がない点に留意しなければなりません。那智勝浦町天満にある約400台収容の専用無料駐車場に車を停め、そこから運行される無料シャトルバスに乗って勝浦港の桟橋へ移動、さらに浦島丸へと乗り継ぐシステムになっています。このダイナミックなアプローチこそが「半島まるごと旅館」という非日常空間へのプロローグとして機能しています。
そして館内に入った宿泊者を圧倒するのが、名物エスカレーター「スペースウォーカー」です。本館から山頂の山上館を結ぶこの設備は、全長154メートル、高低差77メートル、傾斜角30度というエスカレーターとしては国内屈指の規模を誇ります。4台のエスカレーターを乗り継ぎ、約5分40秒かけて昇りきる体験は、まるでレトロフューチャーなアトラクションに乗っているかのような錯覚を覚えます。現在は安全点検と改修を重ねながら稼働しており、急ぎの移動やバリアフリーを要する場合は直通エレベーターも併用できるため、体調や目的に合わせた移動が可能です。