SNSや大手Q&Aサイト、美容医療コミュニティに投稿される体験談を網羅的に分析すると、しこりニキビに悩む患者の行動パターンには驚くほど共通した傾向が見受けられます。
「顎に触ると痛い巨大なしこりができ、市販のオロナインやドルマイシン軟膏を厚塗りして絆創膏を貼って寝たが、翌朝さらに赤くパンパンに腫れ上がって絶望した」「気になって無意識に指で触り続け、入浴中に我慢できず爪で押し出そうとしたら内出血して紫色の硬いシコリになり、半年経っても跡が消えない」といった、悲痛な生の声が溢れています。
なぜ市販の外用薬では太刀打ちできないのか、その実態を検証すると明確なドラッグデリバリーの壁が浮かび上がります。ドラッグストア等で手に入る市販のニキビ治療薬(イブプロフェンピコノール配合薬など)は、主に初期の赤ニキビや表皮近傍の炎症緩和を想定して設計されています。しかし、しこりニキビの炎症の主座は皮膚の奥深く、深部真皮から皮下組織の境界領域にあります。表面からいくら油膜性の強い軟膏を塗り重ねても、有効成分が病巣の深さに達することは物理的に不可能です。それどころか、軟膏の油分が毛穴の出口を塞ぎ、嫌気性菌であるアクネ菌の増殖を後押ししてしまうという皮肉な逆効果すら生み出しています。
取材に応じた皮膚科専門医は次のように証言します。「市販薬を塗って2〜3週間様子を見てから来院される患者様が多いのですが、その間に真皮の破壊が進んでしまっています。しこりを感じた当日または翌日に皮膚科へ来ていただければ、ケナコルト注射や適切な抗生剤内服によって、痕を残さずわずか数日で鎮火させることが可能です。市販薬で粘ること自体が、実は最も瘢痕リスクを高める選択になってしまっています」。