本作を語る上で最大のミステリーとして語り継がれているのが、1984年に放送されたスペシャル最終回『最後の別れ(The Last Farewell)』におけるウォルナットグローブの爆破シーンです。鉱山王の資本家に不当に町を買い占められた住民たちが、自らの手で愛する家や店をダイナマイトで次々に吹き飛ばしていく展開は、当時の視聴者に強烈なトラウマとカタルシスを残しました。
なぜ美しい町並みを完全に破壊しなければならなかったのか。そこには、マイケル・ランドンによる2つの明確な理由が存在しました。
第1の理由は、撮影地の原状回復義務です。撮影が行われていたカリフォルニア州シミバレーのビグ・スカイ・ランチは借地であり、ドラマ終了時にはセットをすべて撤去して自然の草原に戻す契約が地主と結ばれていました。通常なら解体業者を入れて壊すところを、ランドンは「解体費用をかけるくらいなら、劇的なストーリーに昇華させて撮影本番で吹き飛ばしてしまおう」という奇策を思いついたのです。
第2の理由は、「他のドラマやCMで自分たちのセットを使い回されたくない」というランドンの強い美学でした。自らが心血を注いでゼロから作り上げた愛着あるウォルナットグローブの建物を、他人の手で安易に再利用されることを頑なに拒否したのです。なお、教会とインガルス一家の小さな丸太小屋だけは爆破を免れ、象徴として残されました(丸太小屋は後年の山火事で焼失)。