芸能界でのバッシングが沈静化しかけていた2001年12月、最大の危機が訪れます。東京地検特捜部が所得税法違反(脱税)容疑で沙知代氏を電撃逮捕したのです。沙知代氏が代表を務めていたファミリー企業などを通じ、約5億6800万円の所得を隠し、法人税と所得税合わせて約2億1300万円を脱税していたという巨額経済事件でした。
当時、阪神タイガースの監督を務めていた野村克也氏は、妻の逮捕を受けて即座に辞任を発表。深夜に及んだ辞任会見で、克也氏は沈痛な面持ちで頭を下げ続けました。2002年、東京地裁は沙知代氏に対し懲役2年・執行猶予4年、罰金2100万円の有罪判決を言い渡します。
世間は「これで野村夫妻は完全に破滅した」と見なしました。しかし、克也氏は沙知代氏を見捨てることは一切ありませんでした。後に克也氏は手記や取材に対し、「世間がどれだけ悪妻と呼ぼうと、俺にとっては命の恩人であり、唯一無二の理解者だった」と述懐しています。沙知代氏もまた、歯に衣着せぬ毒舌の奥で、克也氏の健康管理と野球に対する情熱を支え続けることで、どん底からの信頼回復に努めました。