実際に銭湯の現場では、どのような光景が広がり、一般客や施設側はどのように向き合っているのでしょうか。東京都内や関西圏の下町銭湯を訪れる利用者の声や、銭湯経営者の手記・証言からは、一般的なステレオタイプとは異なる実態が浮かび上がってきます。
「物心ついた頃から通っているが、背中に絵が入ったおじさんが体を洗い、湯船のヘリで静かに汗を流しているのは日常の風景。騒ぐわけでもなく、むしろ若い客よりも体を念入りに洗ってマナーを守っていることが多い」(都内在住・40代男性常連客)
「地方から上京して初めて下町の銭湯に行った時、和彫りの人が3人並んでサウナに入っていて固まってしまった。でも、お互いに会釈をして場所を譲り合っていて、ネットで言われるような威嚇やトラブルは一切見かけなかった」(SNS投稿・20代会社員)
ネット上では一時、「ヤクザが銭湯を貸し切りにして一般人を追い出しているのではないか」という都市伝説が囁かれたこともありました。しかし、浴場関係者の証言によると、「組合協定や暴排条項により、集団での示威行為や貸切占有などは厳しく禁止されており、現場で警察の介入を招くような行為は組関係者側も徹底して避ける傾向がある」のが実情です。個々人が単独で入浴し、余計なトラブルを起こさず静かに立ち去るというのが、現代の銭湯における暗黙の均衡となっています。