加山雄三の音楽キャリアにおいて、作曲家名義である「弾厚作」の存在を外すことはできない。そして、愛船への溢れる想いをそのまま楽曲として結実させたのが、名曲『光進丸』だ。波のウエイブとエンジンの躍動感を思わせるダイナミックなアレンジ、そして大海原への憧憬を歌い上げた歌詞は、日本の歌謡曲シーンに鮮烈なインパクトを与えた。
この楽曲は、従来の歌謡曲の枠組みを超え、後のJ-POPのルーツとも言える洒脱なポップ・センスとロック精神を宿していた。音楽業界関係者の間でも、船の上でアイデアを練り、アコースティックギターを手にメロディを書き留めていた弾厚作の天才的なセンスは、今なお高く評価されている。