一世を風靡したレッドカーペットブレイク芸人たちが、なぜわずか数年で地上波のレギュラー番組から一斉に姿を消すことになったのか。その背景には、タレント個人の才能の問題にとどまらない、テレビメディアの生態系変化とアテンション・エコノミーの罠が存在していました。
最大の要因は、バラエティ番組の潮流が「ショートネタ見せ番」から『アメトーーク!』や『ロンドンハーツ』に代表される「ひな壇トーク番組」へと急速にシフトした点にあります。1分間の緻密に計算されたパッケージネタで爆発的な笑いを取る能力と、台本のないスタジオでMCからの予測不能なパスを打ち返し、周囲と協調しながらエピソードを展開するフリートーク能力は、全く異なる筋肉を必要とします。
当時ブレイクしたあるピン芸人は、自著の手記の中で次のように述懐しています。
「レッドカーペットで満点大笑いを取った翌日からスケジュール帳が真っ黒になり、1日に5本の番組をハシゴしました。しかし呼ばれるのはトーク番組ばかり。1分ネタしか練習してこなかった自分には、ひな壇の猛者たちの中で発言するタイミングすら掴めず、スタジオの空気を冷やす日々が続きました。毎週の新ネタ作りに追われ、人間味を磨く余裕などどこにもなかったのです」
さらに、「キャラ消費の超高速化」も彼らを追い詰めました。決め台詞や特徴的な衣装は子供たちに爆発的に浸透する一方で、視聴者が飽きるスピードも過去に類を見ないほど加速しました。制作側も次なる新奇性を求め、消費し尽くされたキャラクターを次々と入れ替えていく構造ができあがっていたのです。