日本人の多くが抱く「芸術は爆発だ」への第一印象は、「爆薬が炸裂して周囲を吹き飛ばすような暴力的な破壊」や「常識を無視したハチャメチャな行動」ではないでしょうか。しかし、岡本太郎本人が生前、繰り返し語っていた言葉の定義はまったく逆でした。彼は自著『自分の中に毒を持て』の中で、爆発の本質について極めて明確に言い切っています。
「爆発というのは、ドカンと破壊することではない。全身全霊が宇宙に向かってパッとひらくことだ」
太郎が説いた芸術は爆発だの本当の意味とは、絵画や彫刻といった狭い制度上の「美術品」を作ることではありません。人間が自分自身の内なる計算や世間体、恐怖をかなぐり捨てて、今この瞬間に命を全開にすること――すなわち「生きることそのもの」を芸術と呼んだのです。火花が飛び散るように、自らを惜しみなく外に向かって放出し尽くす生き方こそが、彼にとっての「爆発」でした。
当時の特番インタビューや手記で語られた「人間は誰もが芸術家として生まれてくるのに、社会の型にはめられて自分を殺してしまう」という生の告白には、管理社会への強い危機感が滲んでいます。多くの人が「将来のため」「失敗しないため」にエネルギーを出し惜しみ、妥協して生きている。そうした保身を根底から揺さぶり、「四の五の言わずに今すぐ己を賭けろ」と迫る魂の警鐘こそが、あのフレーズの真実の響きなのです。