日本で「バイキング」という名称が誕生したのは1958年のことだ。当時の帝国ホテル支配人がヨーロッパ視察中、スウェーデン王国のスモーガスボードに出会い、この革新的な食事スタイルを日本に導入しようと決意したことに始まる。
その大役を任されたのが、後に伝説の料理長と称される村上信夫氏だった。村上氏は北欧の伝統料理を日本の顧客の嗜好に合わせてアレンジし、新しいレストランを開設する準備を進めた。しかし、「スモーガスボード」という名称は当時の日本人にとって馴染みが薄く、発音も困難だった。
そこで白羽の矢が立ったのが、当時大ヒットしていたハリウッド映画『北海のバイキング』だ。豪快に肉や海鮮を食らう海賊(バイキング)の力強いイメージと、北欧発祥の食事スタイルが見事に合致。新店舗は「インペリアルバイキング」と命名され、日本の外食産業に新たな風を吹き込んだ。これが、日本全国に「食べ放題=バイキング」という認識が広まった真相である。