「うちの子、小学4年生で9秒台半ばなんだけど遅すぎる?」「高校生男子で7秒5は恥ずかしい数字なのか」といった疑問は、保護者や本人の間で常に渦巻いています。まず押さえておくべきなのは、個人の感覚と統計上の数値には大きな隔たりがある点です。
文部科学省が実施している新体力テストの公式統計を紐解くと、私たちが漠然と抱いている「平均」のイメージは、往々にして高めに設定されがちであることが分かります。例えば、小学生男子全体の平均タイムは約9秒台前半、女子は約9秒台後半であり、10秒台であっても低学年であれば全く珍しくありません。また、中学・高校と進むにつれて第二次性徴による筋肉量の増大と骨格の変化がタイムを劇的に押し上げます。
学力テストと同様に自分の走力を客観視する指標として50メートル走偏差値を算出した場合、おおむね以下の水準が目安となります。学校や地域集団の規模によって多少前後しますが、男子高校生を基準に置くと偏差値50が約7.1秒〜7.2秒、偏差値60が約6.6秒〜6.7秒、偏差値70に達するには6秒2台以内の記録が求められます。つまり、テレビや漫画で頻繁に目にする「6秒台前半」は、学年トップクラスの俊足ランナーにしか許されないエリート領域なのです。