丸みを帯びたカラフルなキャラクターが、なぜ人間の防衛本能を激しく刺激するのだろうか。この不可解な反応を解き明かす鍵として、心理学者や認知科学者が注目するのが、ロボット工学者の森政弘氏が提唱した「不気味の谷現象」という概念である。
人間は、自分たちに似た外見を持つ対象に親近感を覚える。しかし、その類似性が高まる一方で「完全な人間とは微妙に異なる」という領域に達した瞬間、脳は猛烈な違和感と嫌悪感を叩き出すのだ。着ぐるみはこの境界線の上に絶妙に鎮座している。固定された笑顔のまま動かない表情、まばたきをしない巨大な瞳、そして人間離れした身体のバランス。視覚から入る情報と脳の予測モデルとの間に生じるこの「ズレ」こそが、脳内で危険信号を発火させる直接的な原因なのだ。