長年このフレーズが放送され続ける中で、インターネット掲示板やSNSでは一種のお約束として親しまれている有名なツッコミが存在します。それが「親善試合(キリンカップ等)ですら毎回『負けられない戦い』と言っていないか?」という疑問です。
ネット上では「年間通して全部負けられない戦い」「負けてもいい戦いはどこにあるのか」とネタにされることも少なくありません。しかし、この演出手法にはテレビメディアの明確な戦略と、スポーツジャーナリズム上の合理的な理由が存在します。
第1に、商業地上波テレビにおける「フレーミング効果」です。コアなファンは親善試合の位置づけ(若手テストや戦術確認)を理解していますが、ライト層の視聴動機を高めるには「今この試合を観るべき絶対的な理由」を提示する必要があります。FIFAランキングの上下がW杯の組み合わせ抽選(ポット分け)に直結する現代サッカーにおいて、厳密には「無駄にしていい代表戦は1試合も存在しない」という事実が背景にあります。
第2に、ワールドカップ アジア最終予選における圧倒的なプレッシャーの具現化です。1つの引き分けや敗戦で監督解任論が巻き起こり、4年間の強化計画が水泡に帰す過酷なアジア予選のリアルを表現する言葉として、「負けられない戦い」以上に的確な日本語が存在しなかったことも事実です。