春の桜や秋の紅葉シーズンはもちろん、平日の運行便であっても青のシンフォニーの空席状況は常に逼迫しています。この現象を引き起こしている決定的な要因は、供給座席数の絶対的な少なさにあります。
近鉄が誇る他の観光特急、例えば伊勢志摩方面を結ぶ「しまかぜ」が6両編成で定員138名、名阪間を走る「ひのとり」が6〜8両編成で239〜320名以上の定員を擁するのに対し、青の交響曲は3両編成でありながら座席定員はわずか65名しかありません。編成の中央である2号車のすべてをラウンジ車両およびバーカウンターとして開放しているため、乗車可能な座席は1号車と3号車にしか存在しない設計となっています。
さらに拍車をかけているのが、異常なまでの値ごろ感です。大阪阿部野橋から吉野までの特急料金は大人520円、特別車両料金は210円。運賃1,070円を合わせても片道わずか1,800円で極上のクラシックホテル空間を体験できます。この「圧倒的低価格×極小供給」という需給のアンバランスが、発売開始数分で全席が完売する事態を日常化させている背景です。
取材で確認された旅行代理店の動向も見逃せません。大手旅行会社が企画する吉野観光ツアーのパッケージ枠として事前に一定数がブロックされているケースもあり、一般客がアクセスできる一般発売分の座席数は公称定員の65席よりもさらに狭き門となっています。