大行列を乗り越えてでも多くの人々がこの場所を目指す理由は、他所では決して替えの利かない空間価値と卓越したメニュー設計にあります。敷地の核を成す建物は、江戸時代中期(享保年間頃)の建築と伝えられる旧小林家住宅です。京都府指定有形文化財に登録されているこの歴史的建造物は、丹波地方特有の重厚な茅葺き屋根と木造軸組構造を残しながら、洗練されたモダンデザインを融合させて美しく再生されました。
縁側のガラス戸越しに広がる手入れの行き届いた日本庭園、室内に差し込む柔らかな自然光、そして香ばしいパンと挽きたてのエスプレッソの香り。この五感を刺激する空間で提供されるのが、午前8時から11時まで限定のパンとエスプレッソと嵐山庭園のモーニングメニューです。
朝の時間帯における絶対的な看板メニューが、嵐山店限定の抹茶フレンチトーストです。看板食パン「ムー」を特製の抹茶卵液にじっくりと漬け込み、熱々のスキレットで焼き上げられた一品は、表面のキャラメリゼされたカリッとした食感と、スプーンですくえるほどトロトロの内層が鮮烈なコントラストを描きます。京都宇治の厳選抹茶が持つ心地よい苦味と、バターの豊かなコク、濃厚な甘みが絶妙なバランスで調和しており、添えられた抹茶蜜を回しかけることで風味のグラデーションを一段と深く楽しめます。
また、食事系を求める層に絶大な支持を得ているのが「ブランティーセット」をはじめとするモーニングプレートです。トーストしたムーを中心に、数種類の自家製デリ、フレッシュサラダ、生ハム、ミニスイーツが彩り豊かに盛られたプレートは、視覚的な美しさはもちろんのこと、一皿としての満足度が極めて高く設計されています。11時以降はパンとエスプレッソと嵐山庭園のランチメニューへと切り替わり、季節の食材を取り入れたパニーニセットや限定サンドイッチが提供されますが、嵐山らしい情緒と贅沢さを極限まで味わうなら、やはり朝限定のセットメニューに軍配が上がります。