ネット上のまとめや噂話では、極悪同盟に関して事実とは異なる誤解が長年流通してきました。報道各社の記録や関係者の証言に基づき、代表的な誤謬を是正します。
第一に、「ダンプ松本と長与千種は私生活でも激しく憎み合っていた」という言説は明白な誤りです。二人は移動のバスや巡業先のホテルでも互いを気遣い合い、ダンプは私生活でファンから嫌がらせを受ける長与を守ろうとすらしていました。ただし、リングのリアリティを保つため、公の場では一切会話を交わさないという「鉄の掟」を自らに課していました。
第二に、「阿部四郎レフェリーは全女のフロントから八百長の指示を受けていた」という噂です。実際には、阿部四郎の極悪贔屓レフェリングは、彼自身が興行の盛り上がりを計算して編み出した独自の職人技でした。阿部四郎は生前、「悪役が徹底的に理不尽でなければ、ベビーフェイスが勝ったときの観客の爆発的なカタルシスは生まれない」と語っており、自覚的な演出者としてヒールを全うしていました。
第三に、「極悪同盟は内紛によって崩壊した」という誤解です。クレーン・ユウの脱退劇などはギミックと興行上のアングルが巧みに融合されたものであり、ダンプ松本が1988年に引退を決意したのは、自身の肉体の限界と「これ以上ヒールを続けると母親を悲しませてしまう」という人間的な限界に達したためでした。