ネット上の体験談や相談掲示板で頻繁に見受けられるのが、「おりものが透明に伸びた日に仲良しを持ったのに、アプリの排卵予定日と数日ズレていて不安になった」という悩みです。しかし、生理学的なメカニズムを紐解くと、このズレこそが生殖機能の理にかなった現象であることがわかります。
排卵期に分泌量が増えるおりものの正体は、子宮頸部から分泌される「頸管粘液」です。成熟した卵胞から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)が血中で急上昇すると、頸管粘液は水分を約95〜98%含んだ排卵日おりもの透明ゼリー状へと変化します。この分泌量が最大になり、指で触れると10cm以上も糸を引く状態を伸びるおりものピークと呼びます。
ここで知っておくべき決定的な事実は、排卵日おりもの何日前にピークを迎えるかという点です。日本生殖医学会などの報告データによると、頸管粘液の分泌ピークは排卵当日の「前日」あるいは「前々日(2日前)」に現れるケースが大半を占めます。頸管粘液の役割は、排卵された卵子を待つため、アルカリ性の粘液で酸性の膣内から精子を保護し、子宮腔内へと泳ぎやすくナビゲートすることにあります。つまり、卵子が飛び出す前にあらかじめ精子を子宮内で待機させておくための準備段階として、おりもののピークが排卵日よりも先行するのです。