二人の関係がビジネスパートナーへと発展した転機は、2007年の個人事務所「株式会社エンズタワー」の設立だった。当時、所属事務所からの独立を考えていた遠藤憲一は、妻にマネージャー就任を懇願した。だが、昌子氏は当初、その要請を断固として拒否していたという。
それもそのはずだ。当時の昌子氏は舞台の演出や脚本などのクリエイティブな仕事に携わっており、芸能マネジメントは未経験。何より、夫婦関係がビジネスによって壊れることを恐れていた。しかし、遠藤憲一は諦めなかった。3年もの歳月をかけて口説き落とし、「そこまで言うなら」と彼女が折れる形で二人三脚の事務所運営がスタートした。
マネージャーに就任した昌子氏の手腕は鮮やかだった。単なるスケジュール管理にとどまらず、遠藤憲一のパブリックイメージを再構築。それまでVシネマやサスペンスの悪役に偏りがちだった出演作を見直し、ホームドラマやコメディ、ナレーションへと活動の幅を大胆に広げていったのである。