一般家庭に届く募金の封筒を見て、「先月も羽根の募金を払ったばかりなのに」と混同するケースは極めて頻繁に見られます。日本国内で実施されている各種の羽根募金は、それぞれ根拠となる法律、主管団体、支援対象が完全に独立しています。
その筆頭が「赤い羽根共同募金」です。赤の羽根は社会福祉法に基づき、社会福祉法人中央共同募金会が主導する「社会福祉」のための募金です。高齢者支援、子ども食堂の助成、障がい者支援、災害ボランティア活動など、支援の対象はあくまで「人」と「福祉コミュニティ」に置かれています。対する緑の羽根は、緑の募金法に基づく「自然環境・森林」のための資金調達であり、両者のあいだに資金の流用や組織的な統合関係は一切ありません。
街頭や学校で目にする「羽根」には、緑や赤以外にも明確な社会的目的が割り振られています。羽根募金の種類と色の意味を整理すると、戦後日本が民間の善意を可視化するために用いてきたシンボルカラーの歴史が浮かび上がります。
かつては結核予防を目的とした「複十字シール運動」や、青少年赤十字の「白い羽根」、交通安全の「黄色い羽根」なども各地で見られましたが、現在全国規模で大規模な組織的集金ネットワークを保っているのは、緑と赤の二大巨頭です。支援先が「命を支える福祉」か「国土を守る環境」かという点で、寄付者の思いを届ける先は明確に分かれています。