焼き上がりに天板を見て落胆する原因の第1位は「クリームの破裂」です。熱によって内部の空気が膨張し、パイの継ぎ目を破って吹き出してしまう現象は、物理的な蒸気圧の逃げ道を作ることで防げます。多くの料理投稿サイトでつくれぽ1000殿堂入りレシピを分析しても、支持されるレシピは例外なくこの蒸気制御が徹底されています。
クリームを包んでから焼くスタイルをとる場合、失敗しない成形と包み方には守るべき鉄則が存在します。冷凍パイシートは解凍しすぎず、指で押してかすかに跡が残る「半解凍(芯温度約5℃)」の状態で作業を行うこと。パイシートの縁2cmには絶対に卵黄や水分を付着させず、フォークの背を使って生地同士のグルテンをしっかり噛み合わせるように均等に圧着します。
さらに決定的なのが、上面に施すスリット(切り込み)の数と角度です。生地の中央に斜め3〜4本の深めの切り込みを入れ、焼成中に生じる水蒸気を上方へダイレクトに放出させます。これがカスタードが溢れない裏技の要です。クリーム自体を冷蔵庫で芯まで冷やし固めてから包むことで、パイ生地の外側がサクサクに焼き固まるまでの間、内部温度の上昇を約6分間遅らせることが可能になります。