医療現場の聞き取りやSNS、知恵袋といったコミュニティ空間を定点観測すると、「体温計は36.4℃の平熱なのに、喉だけが焼けるように痛い」「熱がないから会社を休めず、出社したが喉の激痛で飲み込みにくい」といった切実な声が数多く見受けられます。
なぜ全身性の発熱を伴わない局所の激痛が頻発するのでしょうか。喉の痛みで熱はない理由として、医療機関が挙げる要因は主に3つあります。
一つ目は、病原体の侵入が咽頭表皮の極めて浅い層にとどまっている初期段階であるケースです。免疫系が全身性の発熱応答(インターロイキンやサイトカインによる体温調節中枢への刺激)を発動する前段階であっても、局所の侵害受容器は過敏に反応するため、平熱でありながら激痛だけが先行します。
二つ目は、睡眠中の口呼吸や暖房機器による極度の乾燥、および後鼻漏(こうびろう)です。特にアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎を抱えている場合、就寝中に鼻水が喉の奥へ垂れ込み、無意識の咳払いや口呼吸が重なることで粘膜が物理的に擦り傷を負ったような状態になります。朝起きた瞬間が痛みのピークで、日中に水分を摂ると徐々に緩和するのが典型的なパターンです。
三つ目は、胃酸が食道へ逆流する逆流性食道炎(GERD)です。就寝直前の飲食や過度のストレスによって強酸性の胃内容物が喉仏付近まで達し、化学熱傷のような形で粘膜を直接刺激します。この場合、風邪薬や抗菌薬をいくら服用しても喉の痛みは一切改善しません。