日本における三毛猫への敬意は、数百年以上の歴史を誇る。江戸時代の文政年間、解体新書で知られる杉田玄白の記述にも見られるように、船乗りたちは雄の三毛猫を「遭難を防ぐ守り神」として重宝した。磁気や天候の変化に対する感受性が鋭いと信じられ、高い金銀と引き換えに船に乗せられたという伝承は全国各地に残っている。
昭和期には、第一次南極観測隊のタロ・ジロと共に船に乗った「タマ」が有名だ。男の子の三毛猫であったタマは、隊員たちの心の支えとなり、過酷な極地での任務を見守った。時代が令和へ移り変わっても、保護猫施設から奇跡的に発見された1匹のニュースがSNSを駆け巡り、数万の共感を集める現象は、日本人の精神構造に深く根ざした愛着の表れにほかならない。