高級旅館の華やかさの一方で、妙見温泉の根底を支えているのが、数百年前から続く伝統的な湯治(とうじ)文化です。天降川沿いには、長期滞在を前提とした素泊まりや自炊が可能な宿が今も温かい灯をともしています。
「きらく温泉」や「田島本館」などに代表される自炊宿では、共用の炊事場に調理器具や食器が完備され、地元の無人販売所や直売所で仕入れた新鮮な野菜、近海の魚介を持ち込んで自分好みの食事を作ることができます。温泉の蒸気を利用した「地獄蒸し」設備を備えた宿もあり、温泉熱で蒸し上げた鶏肉や卵、野菜の素朴な美味しさは格別です。
1泊数千円台から滞在できるリーズナブルな価格設定に加え、近年はWi-Fi環境を整備した宿も増加。都市部の喧騒を離れ、仕事の合間に名湯に浸かる「ワーケーション」や、心身のリフレッシュを目的とした現代版プチ湯治の拠点としても再評価されています。