諏訪地方は古くから、澄んだ空気と清らかな伏流水に恵まれ、味噌蔵や酒蔵が軒を連ねる日本有数の発酵どころとして知られる。この土地の風土に根ざした天然酵母・発酵食文化を取り入れている点こそ、他店では決して真似のできない最大の強みだ。
パンの仕込みに使われる酵母の一部には、地元の銘酒から得られる酒粕や、信州の山野に自生する植物から起こした独自の種が使われている。低温でじっくりと時間をかけて熟成させる長時間発酵プロセスにより、小麦のデンプンが極限まで糖化され、添加物に頼らない自然な甘みと旨みが引き出される。諏訪の気候と水、そして職人の手のひらに棲む菌たちが織りなすハーモニーが、パンという日常食を芸術の域へと押し上げている。