オダギリジョーのミステリアスな魅力の根底には、劇的な青年期の体験が存在します。高校卒業後、単身渡米を決意したアメリカ留学の理由には、映画ファンの間で語り継がれる有名なアクシデントがありました。
もともと映画監督や演出家を目指してカリフォルニア州立大学フレズノ校に入学願書を提出したものの、英語の専攻選択欄にあった「Director(監督)」と「Drama(演劇・俳優)」を取り違えてチェック。結果として意図せず俳優養成コースに配属され、そこで本格的な演技理論(スタニスラフスキー・システムなど)を徹底的に叩き込まれることになります。
「裏方になるつもりが演じる側に立った」という偶然の産物こそが、型にはまらない稀代の俳優・オダギリジョーを生み出す最大の転機となりました。帰国後、本格的に芸能界入りを果たした彼は、商業主義に迎合しないインディペンデントな感性を武器に、独自のキャリアを築き上げていきます。