ブームの絶頂期であった2005年夏、日本のネット史において今なお語り継がれる知的財産権の衝突事件「のまネコ騒動」が勃発します。
エイベックス側は、楽曲のCDプロモーションおよびグッズ展開にあたり、Flash動画に登場した猫のキャラクターを「のまネコ」と命名。関連グッズに「(C) のまネコ製作委員会」などの著作権表記を付与し、さらに商標登録出願を行いました。しかし、このキャラクターは2ちゃんねるで長年ユーザーたちによって共有・改変されてきたアスキーアート「モナー」にワイングラスを持たせただけのデザインだったため、ネットコミュニティから猛烈な反発が巻き起こります。
「共有財産(コモンズ)として育まれた文化を、企業が一私企業の利権として独占・私物化しようとしている」という怒りは瞬く間に拡大。エイベックス製品の不買運動や抗議メールの殺到、さらには当時の経営陣への脅迫騒動にまで発展する異常事態となりました。報道資料や当時の公式声明によると、事態を重く見たエイベックス側は2005年9月、「のまネコ」の商標登録出願を取り下げ、著作権表示の見直しを発表。企業側がネットのコミュニティ倫理と反発に屈する形で幕を閉じました。
この事件は、現在でいう「UGC(ユーザー生成コンテンツ)の商業化における権利配分とコミュニティへの敬意」の重要性を浮き彫りにした、日本デジタルコンテンツ史における決定的な転換点として位置づけられています。