SNSや教育相談の掲示板を覗くと、夏休み前の保護者からは悲痛な声が噴出しています。「ドリルでは満点だったのに、まとめテストになると真っ白になって帰ってきた」「『とめ・はね』が厳しすぎて担任の先生が細かすぎるのではと疑ってしまう」といった嘆きが毎年繰り返されています。小学校現場を取材する中で、ある現役の3年生担任教諭は、テスト返却時の教室の張り詰めた空気について次のように語ってくれました。
「2年生までの漢字テストは、文字の形がおおむね合っていればマルをあげていた学校も多いはずです。しかし、3年生からは都道府県や全国学力学習状況調査を見据え、指導基準が厳格化します。特に『漢』の右側の線数や、『界』の上下バランス、『運』のしんにょうの点など、筆順が崩れると正しい形に収まらない文字が一気に増えるのです。子どもたちにとっては理不尽に感じられるかもしれませんが、ここで文字の基礎を固めなければ、4年生以降の複雑な漢字で完全に脱落してしまいます」(公立小学校教諭・教職14年目)
テスト直前の家庭学習において、親子バトルが勃発する原因もここにあります。子ども自身は「ちゃんと書いたつもり」であるのに対し、親は「ここがはねていない!線が足りない!」とヒステリックに指摘してしまう。結果として、子どもは漢字学習そのものに強い苦手意識と拒絶反応を抱いてしまう悪循環に陥るのです。現場の指導者たちが口を揃えるのは、感情的な叱責ではなく、「客観的に自分の文字の癖を自己添削させる訓練」の重要性です。