医療費控除を漏れなく計上するにあたり、何が対象で何が跳ねられるのかを精緻に把握する必要があります。大手専門クリニックの公開データに基づくと、ICL手術費用の相場と内訳は、近視度数や乱視用レンズの有無によって大きく分かれます。
通常、近視矯正のみ(非乱視)の場合は両眼で45万〜65万円程度ですが、強度乱視用の特殊レンズ(トーリックICL)をオーダーメイド発注する場合は65万〜85万円程度まで跳ね上がります。この本体価格だけでなく、前段階で発生する精密適応検査代(通常5,000円〜1万円)や、術後に処方される抗菌点眼薬・消炎点眼薬の代金もすべて合算可能です。
見落としがちなのが通院費用の扱いです。税法上、ICL医療費控除交通費対象となるのは「通院に必要な公共交通機関の運賃」に限定されています。具体的には電車やバスの往復運賃であり、領収書が出ない場合でも利用日・利用区間・金額をメモや家計簿アプリに記録しておけば正当な医療費として参入できます。
一方で、マイカーで通院した際のガソリン代や近隣コインパーキングの駐車料金、さらには「帰宅時に目が霞んで歩けないから」と自己都合で使ったタクシー代は原則として認められません。ただし、術直後の急激な体調悪化など真にやむを得ない緊急搬送的理由を医師が証明できる特異ケースを除き、税務署の画一的なチェックでは除外されるリスクが高いと認識すべきです。
また、一括払いが困難な若年層を中心に利用されるICL医療費控除デンタルローン分割払い(信販会社のメディカルローン)についても重大なルールがあります。ローンを利用した場合、信販会社が医療機関へ立替払いを行った「契約成立年」に、手術費用全額をその年の医療費控除として一括計上しなければなりません。分割払いが何年に及ぼうとも、実際に金銭を支出した年ではなく立替年が基準となります。なお、信販会社に支払う分割手数料や利息部分は医療行為の対価ではないため、控除対象から厳密に除外される点に留意が必要です。