学校教育や一般的な感覚では「まず基本単位としてグラム(g)があり、その1000倍としてキログラム(kg)が存在する」と考えられがちです。しかし、科学界における公式ルールである国際単位系(SI)の歴史を紐解くと、事実はまったく逆です。
計量標準機関の公式資料によれば、国際単位系(SI)における質量の基本単位は「グラム」ではなく「キログラム(kg)」と明確に規定されています。基本単位7つ(メートル、キログラム、秒、アンペア、ケルビン、モル、カンデラ)の中で、接頭辞(キロ)が最初から付いた状態で基本単位に指定されているのはキログラムのみです。
18世紀末のフランスでメートル法が誕生した際、当初は「水1立方センチメートルの重さ=1グラブ(後のグラム)」と提案されました。しかし、1グラムの金属塊はあまりに小さすぎて当時の技術では精密な標準原器を作ることが困難だったため、実用性を重視して1000倍の「1キログラム原器」が製作され、そのまま基本単位として定着したという歴史的経緯があります。
2019年には物理定数である「プランク定数」を基準とする定義改定が行われ、原器そのものは役目を終えましたが、現在でも世界の質量の根幹はグラムではなくキログラムが担っています。