物語中盤最大の山場であり、読者に凄まじい衝撃を与えたのが「過去の女・雪路(ゆきじ)」を巡る真実です。巴衛は「かつて自分が愛した雪路という人間の女性が忘れられない」という罪悪感と執着に苦しめられていました。しかし、過去編で明かされた事実は、読者の想像を遥かに超えるものでした。
巴衛が500年前に出会い、命がけで愛したのは、タイムスリップして過去に飛んだ桃園奈々生その人だったのです。
本物の雪路は妖怪を激しく憎んでおり、巴衛の求愛を受け入れるはずもありませんでした。追手から逃れる雪路を助けるため、身代わりとして巴衛の前に現れた奈々生。巴衛が一目惚れし、契りを交わした女性は最初から奈々生でした。巴衛が雪路のために手に入れたはずの「竜王の右目」も、雪路の血筋を経て巡り巡り、奈々生の体内へと受け継がれていきます。巴衛の愛は最初から最後まで奈々生ただ一人に向けられていたという、少女マンガ屈指の完璧な伏線回収です。