春先や転勤シーズンになると、多くの家具屋で安くておすすめと評判のチラシに「新生活スタート3点セット:29,800円」といった激安パッケージが並びます。一見すると家計の強い味方に見えますが、この価格設定には明確な工業的・流通的理由が存在します。
一人暮らし向け家具セットが安い理由の根幹は、素材の「軽量化」と「組み立ての完全外注(ユーザー自身への転嫁)」にあります。多くの場合、芯材には段ボール構造に似たペーパーハニカムコアが多用され、表面は木目をプリントした薄い強化紙シートで仕上げられています。これにより、素材原価と海上輸送時のコンテナ積載効率を極限まで最適化しているのです。
数年間の学生生活や単身赴任と割り切るならば極めて合理的ですが、「10年使い続けたい」と期待すると、湿気による天板のたわみやネジ穴の緩みに悩まされることになります。さらに見落としがちなのが家具の配達料金無料キャンペーンの適用条件です。
「全品送料無料」と銘打っていても、詳細規約を確認すると「税込55,000円以上の購入」「平日指定限定」「玄関先渡し(部屋への搬入・開梱設置は別料金5,000円〜)」といった制約が課されているケースが一般的です。結果として、組み立て代行サービスや不用家具の引き取り手数料(1点あたり4,000円〜7,000円前後)を加算した結果、最初から設置無料を謳うミドルクラス店と総支払額が変わらなかったという事態も珍しくありません。