『贖罪』の爆発的な浸透を後押しした要因として、歌い手やVTuberによる「歌ってみた」文化との強固なシナジーが挙げられます。投稿直後から多くの著名歌い手がカバーを公開し、現在でも新たなアプローチの歌唱動画が日々生み出されています。
原曲のVOCALOID Fukase版が持っていた「どこか感情を押し殺したような、静かに零れ落ちる吐息」のニュアンスに対し、人間のシンガーによるカバーでは、声の震えやブレス、ダイナミクスによって生の激情が前面に押し出されます。この原曲とカバー双方の対比が、楽曲の解釈の幅をさらに広げる結果となりました。
SNSや動画コメント欄に寄せられる数万件の反響を分析すると、「学校に行けなかった時期に毎晩泣きながら聴いていた」「取り返しのつかない喧嘩をした友人を思い出す」「自分の存在を否定されたような気分だった夜に救われた」といった、極めてパーソナルで切実な体験談が圧倒的多数を占めています。ただ流行のメロディを消費するのではなく、リスナーが自身のトラウマや後悔を浄化(カタルシス)するための場所として機能していることが浮き彫りになっています。