生活リズムを戻そうと早起きを試みたものの、翌日には強烈な倦怠感に襲われて夕方に仮眠を取ってしまい、結局夜更かしに逆戻りした経験を持つ人は多いはずです。昼夜逆転が戻らない理由の根底には、人間の身体に備わる生体時計の構造的な特性が存在します。
脳の視交叉上核に存在する「主時計」は、何もしなければ約24.2時間という地球の自転周期よりわずかに長い周期で時を刻んでいます。つまり、人間は本来「放っておくと自然に就寝時間が後ろへズレていく」性質を備えているのです。このわずかなズレを毎朝リセットしているのが外部からの刺激ですが、就寝直前までスマートフォンやPCのブルーライトを浴び続け、起床時間が午後へずれ込むと、主時計のリセット機能は完全に停止します。
さらに見落とされがちなのが、胃腸や肝臓などの内臓組織に存在する「末梢時計(腹時計)」との乖離です。脳の時計は光でリセットされる一方、内臓の時計は「絶食後の最初の食事」によって同期されます。深夜2時に夜食を食べ、翌日の昼過ぎに朝食兼昼食を摂る生活を続けていると、脳の主時計と内臓の末梢時計の時刻設定がバラバラになり、重度の時差ボケに似た自律神経失調状態を引き起こします。医療機関の臨床データによると、この状態が数週間以上固定化すると単なる生活習慣の乱れを超え、概日リズム睡眠障害(睡眠・覚醒相後退障害)として医学的な介入が必要になるケースも報告されています。