称賛を集める一方で、インターネット掲示板やSNSでは本書に対する批判の真相を巡る議論が絶えません。主な指摘は以下の2点に集約されます。
- 「国家や政府を人を食い殺す猛獣に例えるのは、国家権力に対する過度な不信感(敵視)を植え付けるのではないか」
- 「憲法改正を阻止するための左派的なプロパガンダ本ではないのか」
これらの疑問に対し、著者自身は公の講演や取材で明確な見解を述べています。著者のスタンスは、「ライオンを悪者として排除せよ(無政府主義)」と主張しているのではなく、「ライオンの力は巨大だからこそ、檻で適切に制御しながら上手に働いてもらおう」という点にあります。治安維持や社会福祉、災害復旧などを担う国家の力は不可欠であり、その強力な力を活かすための安全装置が立憲主義であるという説明です。
また、「改憲か護憲か」という政治的論争についても、著者は「憲法を変えるべきか否かを議論する前に、憲法が何のためにあるのかという“ゲームの基本ルール”を共有していなければ議論が成立しない」と語っています。ルールブックそのものの役割を解説しているため、内容自体は近代的立憲主義の標準的な枠組みに則っています。
ただし、憲法解釈において「自衛権の明文化」や「緊急事態条項の創設」を推進する積極的改憲論の立場から見ると、「権力を縛ることばかりを強調し、有事における統治機能の強化という視点が薄い」と受け取られる側面があることは否定できません。批判の多くは、本書自体の歪みというより、日本特有の先鋭化した「改憲論議の文脈」に巻き込まれた結果生じている現象といえます。