ネット上のまとめ記事や週刊誌報道で頻繁に見受けられる「朝ドラ終焉論」や「歴代ワースト爆死」という表現には、重大な盲点が存在します。それは、「世帯視聴率が下がっている=見ている人が減っている」という単純な短絡です。
テレビ報道の現場で長年使われてきた世帯視聴率は、「調査世帯の中で、誰か一人でもその番組をつけていた世帯の割合」を示すに過ぎません。家族が個別の端末を持ち、単身世帯が急増した2026年現在の日本において、世帯単位の数字はもはや実態を正確に反映し得なくなっています。NHKが公開する公式資料や民放連の調査レポートを見ても、現在のコンテンツ評価基準は「世帯」から「個人全体」、さらには「配信再生数」へと明確に舵を切っています。
とりわけNHKプラスにおける朝ドラの見逃し配信は、全番組の中で常に群を抜くトップの再生回数を維持しています。地上波の世帯視聴率が14%台にとどまった作品であっても、配信回数では歴代1位を更新し、若年層や現役世代の支持率で前作を大幅に上回っている事例は珍しくありません。世帯視聴率のグラフだけを切り取って「大爆死」と騒ぎ立てる論調は、メディアの構造転換を見落とした旧態依然の誤解であると断言できます。