公園の入口から忠霊塔がそびえる展望エリアへ向かう参拝者を待ち受けているのが、急峻な山肌に一直線に伸びる咲くや姫階段です。その段数は398段に達し、一般的な建築物の階段に換算するとおよそ15階から20階建てのビルを自力で駆け上がる負荷に相当します。実際に現場を歩くと、中間地点の踊り場で息を切らし、手すりにすがって立ち止まる観光客の姿が後を絶ちません。
この印象的な名称の理由は、新倉富士浅間神社の主祭神である「木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)」に由来しています。美と繁栄、そして富士山の女神として崇められる神仏の名を冠したこの石段は、単なる登山道ではなく神社への神聖なアプローチとしての意味合いを帯びています。市関係者の記録によると、階段の整備時に親しみやすさと信仰の歴史を伝える目的で命名されましたが、その響きの優雅さとは裏腹に、足腰にかかる物理的負荷は極めてハードです。
足腰に不安のある高齢者や小さな子ども連れの旅行者、あるいはベビーカーを利用する家族にとって、この階段を正面から突破するのは現実的ではありません。そこで重要になるのが、階段の東側に沿うように整備されたスロープ状の舗装道路(迂回路)です。距離は約1.5倍に延びるものの、階段のような急激な段差昇降がなく、息を整えながらマイペースで登壇できます。「398段を登り切る自信がない」という場合は、登りは緩やかなスロープを選び、下りで咲くや姫階段を利用するルート設計が最も体力の消耗を抑えられます。