今でこそ穏やかな笑顔が印象的な国民的女優ですが、その歩みは決して順風満帆な平坦な道ではありませんでした。風吹ジュンの若い頃の画像を見返すと、1974年に「初代ユニチカマスコットガール」に選ばれた当時の健康的な肢体と、小悪魔的な愛らしさを兼ね備えたビジュアルが強いインパクトを残しています。瞬く間にトップアイドルとして時代のアイコンとなり、歌手活動やグラビアで日本中を熱狂させました。
しかし、その華やかな成功の裏で、所属事務所の移籍トラブルや誘拐監禁騒動など、昭和の芸能界特有の熾烈な荒波に巻き込まれます。タレント生命の危機とも言える逆境に直面しながらも、彼女は決して表舞台から逃げ出すことなく、自らの足で立つ覚悟を決めました。
アイドルから女優への転身を成功させた決定打となったのが、竹中直人監督の映画『無能の人』(1991年)でした。主人公を献身的に支える妻役を見事に演じ切り、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞をはじめとする各映画賞を総なめにします。これを機に、NHK連続テレビ小説や大河ドラマ、TBS系「日曜劇場」など数々の風吹ジュン ドラマ出演作において欠かせない重鎮バイプレーヤーとしての地位を確立していきました。