台風シーズンになると、X(旧Twitter)などのSNSで「Windyで10日後に超巨大台風が直撃する予報が出ている」「気象庁はまだ隠している」といった扇情的な投稿が拡散される場面が散見されます。しかし、気象のプロフェッショナルから見れば、こうした投稿の多くは数値予報の特性を誤認した危険なデマに近いものです。
大気の物理計算において、7日〜10日先の大気状態はカオス理論の影響を強く受け、わずかな海水温や偏西風の蛇行の差で計算結果が激変します。特にGFSモデルなどは熱帯域の対流活動を過敏に拾い、実際には発生しない「ゴースト台風」を10日先の画面上に頻繁に描き出します。数日後の計算更新で忽然と台風が消滅することは日常茶飯事です。
「10日先予報」の正しいリテラシーは、「台風の直撃を確定させる情報」ではなく、「日本の南海上で大気不安定な領域が広がり、台風が発生しやすい周期に入るかもしれない」という長期的な警戒の目安として受け止めることです。10日先の渦を見てパニックになり、イベントの中止や過度な買いだめに走ることは避けるべきです。