親族関係に限界を感じたとき、多くの人が「役所に絶縁届を出せないのか」「法的に親子の縁を切りたい」と考えます。結論から述べると、親と縁を切る法律は日本の民法には存在しません。かつての明治民法や武家社会に存在した「勘当」のような制度は、日本国憲法下の民法改正によって完全に廃止されました。
民法第725条において、実の親と子は「直系血族」と定義されています。この血族関係を法的に消滅させる唯一の例外は、民法第817条の2に規定される「特別養子縁組」のみです。これは原則として15歳未満の子どもが実親との法的関係を断ち切り、新たな養親の実子となる制度であり、成人した子どもが自らの意志で実親との関係を一方的に抹消する手段ではありません。
そのため、公的機関に「絶縁届」といった書類を提出して親子関係を白紙に戻すことは法的に不可能です。しかし、落胆する必要はありません。法的な血縁を消滅させることはできなくても、親と縁を切る方法を実務的に積み上げることで、親からの干渉、追跡、連絡、金銭要求を法と行政の力を使って「事実上100%遮断」することは十分に可能です。目指すべきは法の形式的な解消ではなく、生活圏からの親の完全排除です。