日本人は歴史的に、災害の恐怖と復興への祈りを映像作品を通じて表現してきた。小松左京の傑作小説を原作とする『日本沈没』は、高度経済成長期の日本社会に巨大地震の脅威を突如突きつけ、防災意識の変革をもたらした。一方、近年の新海誠監督作品『すずめの戸締まり』は、東日本大震災の記憶と傷痕を真っ向から描き出し、次世代へ教訓を語り継ぐ文化的役割を果たしている。
テレビ番組のドキュメンタリーや災害報道・ニュースが届ける凄惨な事実は、時に観る者の心を打ちのめす。しかし、フィクションと実録映像の双方が果たす役割は、「大災害は決して遠い世界の出来事ではない」という現実を人々の意識に強く刻み込むことにある。悲劇の記録を単なるショッキングなコンテンツで終わらせず、生き延びるための糧に昇華させねばならない。