韓国の就職活動における容姿重視の姿勢は、長年にわたり深刻な社会問題として批判されてきました。求職者が採用担当者に好印象を与えるため、面接直前にボトックス注射やヒアルロン酸注入などのプチ整形を受ける現象は「就活整形」と呼ばれ、すでに恒常化しています。就活生を専門とするソウル市内の写真館では、肌のトーン補正にとどまらず、輪郭の左右対称化や口角のリフトアップを施した「奇跡の1枚」を作成することが標準的なプロセスとなっています。
こうした深刻な容姿差別を是正するため、韓国政府は2019年に「採用手続きの公正化に関する法律(公正採用法)」を改正・施行しました。これにより、従業員30人以上の企業や公共機関において、求職者の容姿、身長、体重などの身体条件や家族の学歴・財産を履歴書に記載させること、および顔写真の提出を要求することが原則として禁止されました。いわゆる「ブラインド採用」の義務付けです。
しかし、制度が整った一方で現場のリアルな実情は決して一筋縄ではいきません。書類選考の段階では写真が排除されたものの、対面やオンラインで行われる二次・最終面接では依然として容姿が合否を左右する決定打になり得ます。大手企業の内定を獲得した20代の就活生は、自著や取材インタビューの中で次のように赤裸々に語っています。
「筆記試験の点数が同等なら、明るく華があり好感度の高い顔立ちの志望者が選ばれるのは現場の公然の秘密。ブラインド採用によって書類の写真は消えましたが、面接室に入った瞬間の視線によるスクリーニングは以前よりもむしろシビアになったと感じます」